第26回中部小動物臨床研究会年次大会
2017年9月24日 第26回中部小動物臨床研究会年次大会@名古屋国際会議場
演題「犬の膿皮症から分離されたブドウ球菌の薬剤耐性率」
発表者 藤永 洋平(松波動物病院メディカルセンター)
中部小動物臨床研究会の年次大会に参加させていただきました。
本研究会は『臨床家による臨床家のための臨床家の発表会』として開催されており、より実践に即した発表会となっております、活発に議論がなされていました。
今回発表させて頂いた内容は、『犬の膿皮症から分離されたブドウ球菌の薬剤耐性率』です。
人医療においては、メチシリン耐性ブドウ球菌が院内感染や老人ホームでの感染症などで問題になっています。獣医医療においても、近年、メチシリン耐性を示すブドウ球菌が検出され、その検出率は年々上昇しています。
よって今回、犬の膿皮症の主な原因菌とされて入るブドウ球菌の薬剤耐性率とメチシリン耐性率についてまとめて、発表させていただきました。
従来までは、皮膚の感染症である膿皮症に対しては、経験則の基づく抗菌薬による治療を行ってきました。しかし、近年、抗菌薬療法に反応しない薬剤対耐性を持つ膿皮症の患者が増加しています。
今回の発表では、一般的に皮膚の感染症の治療に使われる抗菌薬に対して、半数が薬剤耐性を示すことがわかりました。
今後、適切な治療また耐性菌を増やさないためにも、早期の薬剤感受性試験を行いエビデンスに基づく治療及び外用療法の併用の必要性を改めて感じました。
日常の診察において、皮膚疾患だけでなく他の疾患においても、耐性菌をつくらない診療を行って行きたいと思います。