第14回日本獣医内科学アカデミー学術大会
2018年2月17日 第14回日本獣医内科学アカデミー学術大会@パシフィコ横浜
演題「X線CT検査により診断された犬の先天性門脈体循環シャントの回顧的研究」
発表者 岡田 憲幸(松波動物病院メディカルセンター)
日本獣医内科学アカデミー学術大会に参加させていただきました。
獣医学の学会の中で最大級の規模で行わる学会であり、様々な面から活発な議論がなされており、大変勉強になる演題が多数ありました。
その中で私が発表させていただいた研究は「X線CT検査により診断された犬の先天性門脈体循環シャントの回顧的研究」です。
簡単に内容を述べさせていただきます。
犬の先天的な異常として代表的なものの一つとして門脈体循環シャントという病気があります。
この病気は、本来腸管から来た血液はすべて肝臓に入らなければいけないですが、その途中に正常では存在しない血管が存在することで、肝臓を通らずに全身へ流れてしまう血液が存在してします。
肝臓を通過しないと腸管内で吸収された栄養をうまく代謝することができなくなり、また同時に吸収される毒素も肝臓で解毒することなく全身に回ってしまうことで、様々な症状が出る病気です。
今回の研究では、この病気がどれくらいの割合で発生するかどうかや、この病気があるとどんな症状が出やすいのか、どの犬種が発生しやすいのかなどを調べた物をまとめたものです。
結果的に、今まで言われてきた以上の発生率があり、小型犬に多く、特にヨークシャーテリアやシーズーなどで発生率が高いことなどが判明しました。また、誤食歴がある症例では発生率が高いことが判明いたしました。
よく、誤食してしまう子は、実はこの病気が潜んでいるかもしれません。
門脈体循環シャントの診断にはCT検査が有用です。
好発犬種である小型犬、特にヨークシャーテリアやシーズーや、誤食歴がある犬などでは、去勢手術や避妊手術の時などに検査をすることをお勧めいたします。