プードルは歴史の古い犬種で、発祥についても不明な点が多く、初期で最もプードルに近かったのはヨーロッパ各地に分布していた、カールのかかった「バーベット」というドイツ原産の犬であったようです。最終的にはフランスで改良されて今の形になり、とても人気が高かったため、フランス原産と言われています。
元々プードルといえば大型犬のスタンダード・プードルで、ロシアの酪農家たちの荷車引きとして古くから知られており、ブラックの毛が普通でした。泳ぎが得意で、鳥猟犬としても飼育され、水鳥の回収犬として大切な存在でした。 そこから改良を重ね、小型化し、ミニチュア・プードルやトイ・プードルが作られました。
16世紀フランスの上流階級で飼育された頃にはミニチュア・プードルが、ルイ16世の時代にはトイ・プードルが確認されています。 プードルという名はドイツ語の「pfudel:プーデル(水たまり、水がはねる)」に由来しており、水の中で行動するのに優れていたことを証明しています。 水中で毛が水分を含んで重くならないよう、余計な被毛をカットしたことがトリミングの始まりとなりました。胸と足の毛を残すのは、冷たい水から心臓と関節を守るためだったそうです。
プードルはイギリスでは古くからトリュフ掘りに使用されており、プードルがトリュフを発見すると、仕事仲間のダックスフンドが掘り出していたそうです。夜間のトリュフ掘りでも犬の居所が分かるよう、ホワイトのプードルが作り出されたとも言われています。
日ごろの注意すること・お手入れ方法
- 毎日、ワンちゃんのボディーチェックをしましょう!目を見たり、お耳はクンクンにおいをかいでください!
- 食事の置きっぱなしは、やめましょう。朝晩と食事時間を決めましょう!
- 食事の容器は、プラスチック製のものはやめて、ステンレスや陶器、ガラスに変えましょう。
使い終わったら、きれいに洗いましょう!
もっともペットに大切なことは食事です!
獣医師がお薦めするフードは「総合栄養食」です。
もちろん疾患のある場合は療法食ですが、そうでない場合は犬種や年齢によって選ぶフードが違ってきます。
動物病院で取り扱っている「総合栄養食」の条件は、
- 栄養のバランスがとれている(各栄養素の量だけでなく質も良い、毛艶が良くなる)
- 消化性が高い(高品質な蛋白質を多く使用、便が少なくなる)。
つまり、フードと水だけで他に栄養食はいらないものです。
普段から質の良いフードを与えることによってペットの健康が守られ、もし病気になったときにも療法食に切り替えやすくなります。
こんな病気に気をつけましょう
膝蓋骨脱臼
膝蓋骨脱臼は膝のお皿の骨(膝蓋骨)が正常な位置からずれてしまう病気で、小型犬は内側に、大型犬は外側にはずれることが多いとされています。
先天性の場合、膝蓋骨がはまっている骨の溝が浅いことが原因で、習慣的に脱臼するために痛みを伴わない場合もありますが、遺伝性なので繁殖はさせない方がいいでしょう。
後天性では交通事故や落下などの強い衝撃から膝周囲の組織が損傷したり、骨が変形することが原因で起こることが多く、痛みや腫れを伴います。
ひどければ前十字靱帯という膝の靱帯を断裂してしまう場合もあります。
治療法は膝蓋骨が正常な位置に戻るように、溝を深くする手術を行います。手術はなるべく若い年齢で、症状の軽いうちに行うのが重要です。また、フローリングなど硬くて滑りやすい床には敷物を敷くなど生活環境の工夫をした方がよいでしょう。
さらに、肥満は膝への負担が大きいので、太らせないように体重管理も必要です。手術後に関節軟骨を強化するサプリメントを与えることは補助的な治療としては効果があります。
こんな症状が出たら要注意
- 足を痛がる
- スキップするように歩く
- 足を引きずる
- 足を浮かせて歩く
(浮かせたり普通に歩いたりする) - 後ろ足が曲がっている
外耳道炎
たれ耳の犬に多く、外耳道にたまった耳アカにマラセチアという真菌やブドウ球菌などの細菌が繁殖しておこります。
プードルはたれ耳の上、耳の中にも毛が生えやすいので通気性が悪く、外耳道炎になりやすいので特に注意が必要です。適度の耳掃除は必要ですが、その時に耳道に傷をつけたりすることがあるので、綿棒での掃除はやめましょう。水浴の時に水が入り細菌繁殖の原因になる事もあります。外耳道炎になってしまったら治療が必要です。治療を始めるとすぐに効果は現われますが、よくなったと思って早くに薬をやめてしまうと再発の原因になります。完治するまできちんと治療しましょう。
こんな症状が出たら要注意
- 耳を痒がる
- 耳を振る
- 耳ににおいや汚れがある
目の病気
プードルに多い目の病気としては流涙症という、常に涙が溢れる病気があります。
涙は上まぶたの裏にある涙腺でつくられて結膜から分泌され、目頭から鼻へと流れますが、なんらかの原因で涙管(目から鼻への涙の通り道)がつまったりすると涙の行き場がなくなり、目からあふれ出ます。涙やけの原因にもなり、常に汚れていると結膜炎などを併発しやすいので気をつけましょう。
治療法は外科手術で、涙管のつまりを取り除いてあげることで治ります。
プードルは全身の毛が多く、目の周りにも密集しているので常に目に対して刺激があります。結膜はまぶたの裏側と眼球をつなぐ膜で、そこに炎症が起こる病気を結膜炎と言います。症状が犬の片目だけの場合の多くは毛やゴミなど物理的な原因があげられ、両目の場合は感染症などが原因で起こります。
犬によっては、気にして自分で目をこすって角膜(黒目を覆っている眼球の一番外側の膜)を傷つけ、角膜炎から潰瘍になってしまう子もいるのでエリザベスカラーで保護してあげることも大切です。
こんな症状が出たら要注意
- 目が充血している
- 涙や目ヤニが多い
- 目をこすったり気にしている
きれいにしましょう!
目ヤニが出てきたら、ぬるま湯に浸したガーゼや脱脂綿で、きれいに拭いてあげましょう。目ヤニや分泌物をそのままにしておくと、目の病気の原因になってしまいます。また、目ヤニがひどい場合は、診察をお受けください。
小さくてもしつけは大事!
トイ・プードルは理解力がありもの覚えもよく、しつけや訓練を比較的早く身に付けます。また、そのかわいらしい容姿とは裏腹に先祖は 水猟犬なので、リーダーに対する服従などは徹底しています。
飼主を リーダーと認めれば、しつけにはさほど手はかからないでしょう。
リーダーになるためには、世話をちゃんとすること、甘やかさないこと、愛情を持って接すること、リーダーシップをとることなどが必要です。