シー・ズーの正確な呼び名は「獅子狗(シー・ズー・ゴウ)」といい、仏教の影響があった中国でもっとも尊ばれた動物である獅子(ライオン)にちなんで呼び名を付けられたようです。
唐の時代、中国とチベットの国交が皇室同士の婚姻により始まります。
当初はその結婚の貢ぎ物として中国へ献上されていた獅子狗ですが、清朝時代(1644~61)にはダライ・ラマが中国の皇帝に献上するなど、獅子狗を贈られること自体が大きな名誉となります。
この獅子狗は中国の上流階級の間で流行しました。
中でも西太后がこよなく獅子狗を愛していたことは有名で、宮廷では1000~4000頭ものイヌたちが飼育されていたようです。
西太后の没後、ラストエンペラーで知られる宣統帝(せんとうてい)はイヌに興味がなく、宮廷のイヌたちは宦官や駐在の外国高官たちに分散し、街中に流出していきます。
中国革命で清朝が崩壊した際には宮廷のイヌたちは惨殺されてしまったそうです。
外国高官の手に渡った獅子狗は中国から流出し、海を渡ります。イギリスやノルウェーなどにも渡り、王室でも愛される存在となります。イギリスで改良を加えながら繁殖が続けられ、現在のシー・ズーとしての容姿の基礎が確立しました。
日ごろの注意すること・お手入れ方法
- 毎日、ワンちゃんのボディーチェックをしましょう!目を見たり、お耳はクンクンにおいをかいでください!
- 食事の置きっぱなしは、やめましょう。朝晩と食事時間を決めましょう!
- 食事の容器は、プラスチック製のものはやめて、ステンレスや陶器、ガラスに変えましょう。
使い終わったら、きれいに洗いましょう
もっともペットに大切なことは食事です!
獣医師がお薦めするフードは「総合栄養食」です。
もちろん疾患のある場合は療法食ですが、そうでない場合は犬種や年齢によって選ぶフードが違ってきます。
動物病院で取り扱っている「総合栄養食」の条件は、
- 栄養のバランスがとれている(各栄養素の量だけでなく質も良い、毛艶が良くなる)
- 消化性が高い(高品質な蛋白質を多く使用、便が少なくなる)。
つまり、フードと水だけで他に栄養食はいらないものです。
普段から質の良いフードを与えることによってペットの健康が守られ、もし病気になったときにも療法食に切り替えやすくなります。
こんな病気に特に気をつけましょう!
目の病気
シーズーは眼球の面積が大きいので目の病気になりやすい犬種です。
角膜は黒目の表面を覆っている透明な膜で 目の中を保護するために丈夫な線維組織でできています。この膜に炎症が起こるのが角膜炎です。原因としては、涙の量が不足することによる乾燥性のもの(ドライアイ)、目のまわりの毛やまつ毛などによる刺激やシャンプー、ケンカなど物理的なもの、ウイルスや細菌感染、アレルギーによるものなど様々です。
炎症が起こると痛むのでしきりに目を気にします。進行すると角膜の表面が白く濁り、痛みもひどくなります。更に進むと炎症が広がって傷も深くなり、角膜潰瘍や角膜裂傷になることもあります。大きな潰瘍で点眼薬では治らない場合は、手術が必要になります。ワンちゃんの場合、自分でこすりつけたり、引っ掻いたりして傷をつけてしまう場合があるので、目を気にしていたらエリザベスカラーなどで保護してあげましょう。目の病気は進行が早いので早急に治療が必要です。少しくらい大丈夫、自然に治ると思ってそのままにしておくと失明するようなことになりかねません
進行すると視力障害になるため日頃から点検を怠らず、異物を発見したら柔らかいガーゼ等にぬるま湯を浸し優しく取除いてあげましょう。無理にこすったりするのはやめて下さい。
こんな症状が出たら要注意
- 目が充血している
- 涙や目ヤニが多い
- 目をこすったり気にしている
外耳道炎
たれ耳の犬に多く、外耳道にたまった耳あかにマラセチアという真菌やブドウ球菌などの 細菌が繁殖しておこります。
シーズーのようなたれ耳の犬種は通気性が悪いため、適度の耳掃除が必要ですが、その時に耳道に傷をつけたりすることがあるので、 綿棒での掃除はやめましょう。水浴の時に水が入り細菌繁殖の原因になる事もあります。
外耳道炎になってしまったら治療が必要です。治療を始めるとすぐに効果は現われますが、よくなったと思って早くに薬をやめてしまうと再発の原因になります。完治するまできちんと治療しましょう。
こんな症状が出たら要注意
- 耳を痒がる
- 耳を振る
- 耳ににおいや汚れがある
皮膚病
シーズーは皮膚が敏感で弱く、様々な皮膚病を引き起こす犬種です。
脂漏性皮膚炎は、アレルギーや寄生虫の感染、ホルモン分泌の異常などにより、皮膚の新陳代謝が極端に速くなることが原因で起こります。皮膚にある皮脂腺から皮膚を保護するために皮脂が分泌されていますが、この皮脂の分泌が多すぎたり少なすぎたりすることで起こります。痒がる、フケが多くなる、皮膚が脂っぽくなる、臭うなどが主な症状です。乾性型と脂性型があり、皮脂の分泌が少なくなると皮膚が乾燥して異常にフケが増え、皮脂が多すぎるとベタつき、細菌感染によって体臭がひどくなります。
膿皮症は主に細菌感染によって起こります。犬の皮膚や被毛には細菌が少なからず付着していますが、体の免疫力が低下したり、年をとったりして皮膚が抵抗力を失うと、菌が異常に増えて化膿することがあり、皮膚が部分的に赤くなって痒がるようになります。細菌や真菌など原因菌はさまざまですが、中には菌によるものではない場合もあります。
どんな皮膚病でも治療として投薬や、症状にあった適切なシャンプー剤の選択などのスキンケアが大切です。シーズーは皮膚病が多く、治りにくい場合もありますが、根気よく治療を続けてあげて下さい。
こんな症状が出たら要注意
- フケが多い
- 皮膚がベトつく
- 体臭がきつくなる
- 発疹・脱毛がある
- ひどく痒がる
- 皮膚が赤い
きれいにしましょう!
シー・ズーのような長毛の室内犬は、月1~2回はシャンプーしてあげましょう。
なお、もつれた毛や毛玉は濡れると固まってしまうので、シャンプー前にブラッシングをし、被毛を整えてから洗ってあげましょう。
- 35度程度のお湯を後ろ足の方からゆっくり全身にかけてあげます。尾を持ち上げて肛門腺を絞ったら、
お湯で薄めたシャンプーを下半身からかけていきます。 - 鼻が短いシー・ズーでは、頭を濡らすときは顔を上に上げて、少しずつお湯をかけてあげます。
- お湯で薄めたシャンプーをスポンジに含ませ、被毛がからまないようにしながら全身を洗います。
- 頭や顔を洗うときは顔を上に向かせ、指の腹を使って優しく洗います。シャンプーが目や耳に入らないようにしましょう。
- 汚れやすいお尻や足も丁寧に洗ってあげましょう。シャンプーが終わったら十分にすすぎ、同じようにもう一度シャンプーを
します。 - 2度洗いが終わったら、お湯で薄めたリンス液を体全体にかけてあげます。揉み込んだりせず、リンスは流しかけるだけ。
- 皮膚にリンスが残らない程度に軽くすすぎます。すすぎのし過ぎはリンスの効果を半減させるので注意しましょう。
- すすぎ終わったら、毛を痛めないよう、こするのではなく押さえるようにして水分をとり、ブラシやコームでとかしながら
ドライヤーで乾かします。