名古屋の動物病院 猫のケアに関する情報

気質・習性

はじめに

猫はかつて人になつかない動物であると言われていましたが、そういったイメージはもはや変わりつつあります。性質は犬とまったく異なりますが、猫もまた人とのふれあい、そして何より愛情を求めています! 子猫や成猫が家にやって来たら、完全に室内飼いにするのか、屋外にも出すのかを決めましょう。どちらの場合もメリットとデメリットがあります。外で自由に行動する猫は、車にひかれたり、他の動物とケンカをしたりする可能性のほか、ノミ、回虫・条虫、耳ダニなどの内・外部寄生虫による病気にかかりやすく、平均寿命がかなり短くなります。反対に室内飼いの場合は、一緒に遊んであげる、運動させる、爪とぎ柱、爪とぎ板を用意する、トイレを清潔にするといった、身体的な刺激を与えるだけでなく、精神面でのケアも必要となります。どちらの場合でも、以下の簡単なガイドラインに従って猫をしつけてください。さあ、猫のいる幸せな家庭を築きましょう!

爪とぎ柱、爪とぎ板を用意しましょう

爪とぎは猫の習性です。この本能行動は、5週齢のころに始まります。爪とぎは、爪をといで化学的・視覚的サインを残すことにより、他の猫や動物に対する“メッセージ”としての重要な役割を果たします。猫にとっては全く正常であるこの行動も、猫がカーペットや家具で爪をとぎ始めれば、飼い主にとっては悩みの種となるでしょう。このような場合には、猫が興味を持ちそうな物にはカバーをかけたり、別の場所に移動したりしてください。また、猫の爪に接着するビニール製のネイルキャップを装着する方法もありますが、このキャップはほぼ毎月交換する必要があります。また、ネイルキャップを嫌がる猫もいます。ですから、子猫には爪とぎ用の特別な場所(通常は柱や板)を用意する方が、簡単で実用的です。様々な爪とぎ柱や爪とぎ板を試していくうちに、どのようなタイプがお気に入りか、愛猫の好みがわかるでしょう。

市販の爪とぎ柱、爪とぎ板であれば何でもOK、というわけではありません。

比較的猫が好むとされている爪とぎ柱、爪とぎ板の材質は、サイザル麻、ダンボール、木、合板です。

猫を飼っている方の中には、爪とぎ柱を製作する方もいます。柔らかい丸太や切り株、2×4材を、サイザル麻か縦繊維の素材で覆った爪とぎ柱は、愛猫のお気に入りだそうです。

爪とぎ柱、爪とぎ板を用意する際に最も重要な点は、猫が後肢で立ち上がったときの背丈よりも高く、ひっくり返ることがない頑丈なものを選び、猫が利用しやすい目立つ場所に設置することです。

幅15~20cm、長さ30~35cm程度の板を壁に固定しても、十分爪とぎ柱、爪とぎ板の代わりになります。
 

爪とぎ柱や爪とぎ板がどんな形になっても、猫がまだ使っているうちは、新しいものに変えるべきではありません。爪とぎ柱や爪とぎ板が爪をとぐにしたがってボロボロになっていくほど、愛着が増し、ますます爪をとぎたがるものなのです。これで家具は安心というわけです!

猫を健康に、そして幸せにするのは遊び時間です

子猫や成猫の本能を満足させるような、面白くて挑みがいのある遊びの機会をたくさん作って、運動量を増やしましょう。跳ねたりヒラヒラしたりする市販のおもちゃを使えば、“追跡”、“狩猟”、“捕獲”の擬似行為を行えます。鏡に映った光や、懐中電灯から放たれる光の点を追うのが好きな猫もいます。また、アルミホイルで作ったボールに長いひもを付けて、それをあなたのベルトやウエストに結びつけてもよいでしょう。あなたが動き回るたびに猫はボールを“キャッチ”しようとして、とても楽しいふれあいの時を過ごせます。ただし、子猫が誤ってあなたの脚をキャッチしてしまわないように、ひもを十分に長くしておいてください。1匹だけで残されることがよくある猫の場合は特に、遊びの時間を少なくとも1日1回、15分間はとって、猫とふれあうよう努めてください。

清潔なトイレは猫にとってもうれしいものです!

猫はきれい好きです。利用しやすい場所に清潔なトイレを設置しましょう。そうすれば、トイレの問題も最小限にとどめられます。猫は一般に、無臭で柔らかく、細かい猫砂を好みます。排尿用のトイレと排便用のトイレを分けたがる猫もいますので、トイレの数は猫1匹につき1箱、それにプラス1箱が理想的です。ですから、2匹飼っている家庭では、3つのトイレを別の階、または別の部屋に配置しておく必要があります。トイレは、洗濯機のような騒音の出る機器の隣には置かないでください。猫は静かな場所を好みます。糞便類は(猫砂を使用している場合は尿も)毎日片付けてください。猫砂を使用していない場合は週に1回、猫砂を使用している場合は月に1回、水と低刺激性の食器用洗剤でトイレを洗ってください。トイレ以外で排泄してしまう場合にはいくつかの原因が考えられますが、何らかの病気にかかっている可能性が高いと言えます。そのような場合には、かかりつけの獣医師に相談して適切な治療を受けてください。

スプレー行為(尿マーキング)

スプレー行為(尿マーキング)は、去勢・避妊手術を受けていない猫の正常な行動であり、手術後もスプレー行為が続く場合もあります。去勢手術を受けたオス猫の10%、避妊手術を受けたメス猫の5%が、定期的にスプレー行為をすると報告されています。スプレー行為は、他の猫の有無(家屋の内外いずれも)や猫の環境の変化(新しい同居人、ペット、乳児、場合によっては猫が1匹だけで残される時間数の変化)など、不安を引き起こすようなストレスが原因であると言われています。スプレー行為は、猫が飼い主に不安を伝える方法なのかもしれません。治療法はありますので、かかりつけの獣医師にお尋ねください。

Diane Frank, DVM ダイアン・フランク(DVM)
ACVB(American College of Veterinary Behaviorists)専門医