ヘルニア(ソケイ、会陰、腹壁)
松波動物病院メディカルセンター
獣医師 小梢 優
鼠径ヘルニア
鼠径とはお腹の中から血管などが内股へ通る穴のことをいいます。
その穴から脂肪や腸などお腹の中から臓器がとびだしてしまう状態のことです。
内股のあたりが膨らんでいるのがわかると思います。
原因として、生まれつき穴が大きい、または事故などの外傷などが考えられます。
雄、雌のどちらでも見られ、片側、または両側の場合があります。片側性では左側が多い傾向にあります。もしヘルニアを起こしている場合、内股にふくらみを感じます。出てきたものが脂肪であっても今後、腸や膀胱、子宮などの臓器が出てしまうことがあります。
臓器が出てしまうと命の危険があるため注意が必要です。(腸が出てしまうと、症状として嘔吐や痛みなどがみられます。)
治療法としては外科的にヘルニアを起こしている部位を塞ぐことで行います。
今後臓器が出てしまい、危険な状態になることを防ぐため行います。
内股に膨らみを感じた場合は動物病院に相談しましょう。
腹壁ヘルニア
腹壁ヘルニアには外側のヘルニアと内側のヘルニアがあります。
交通事故、咬傷などの外傷が原因として多いですが、生まれつきの子もいます。
外ヘルニアとは内臓を守るお腹の外壁が欠損しており、外側に出てしまうことをいいます。お腹に不自然なふくらみが感じられます。
内ヘルニアとはお腹や胸の穴より体の内部に発生するものをいいます。(横隔膜ヘルニアなど)
横隔膜とは胸とお腹を分けている膜のことを言います。横隔膜ヘルニアは、内側のことなので外見ではわかりません。特に交通事故に遭遇した猫ちゃんによくみられ、お腹の臓器が胸の方に飛び出してしまいます。胸が押されて呼吸が苦しくなってしまいますので緊急の手術が必要です。
臍ヘルニア
臍ヘルニアは通常では生まれつきのことが多いです。通常生まれてから閉じるはずのへその穴があいてしまっていることが原因となります。この状態になるとでべそのようにへそのあたりに膨らみを感じます。
ほとんどは遺伝性として考えられています。
また臍ヘルニアが見られる多くの男の子は陰睾が見られます。
臓器が出てしまうと命の危険があるため注意が必要です。(腸が出てしまうと、症状として嘔吐や痛みなどがみられます。)
治療法としては外科的にヘルニアを起こしている部位を塞ぐことで行います。
今後臓器が出てしまうことを防ぐ目的で行います。