名古屋の動物病院 ペットの病気

膀胱結石・尿道閉塞

松波動物病院メディカルセンター
獣医師 山田浩代

膀胱結石

膀胱結石は食事から取り入れたミネラル分と尿の中のタンパク質が固まることで結石になってしまう病気です。結石の種類はさまざまで、犬種や体質、食事の種類、水を飲む量などによっても異なります。

犬では細菌性の膀胱炎からストラバイトと呼ばれる結晶ができ、その結晶が固まって結石になることが多くみられますが、その他にも、冬場に水を飲む量が減り、尿が濃くなることで結石ができやすくなることもあります。また、代謝の異常によってできる結石もあります。

雄は雌に比べて尿道が長くて細いため、膀胱にできた結石が排尿する時に尿道につまってしまう確率が高いので注意が必要です。つまると急性腎不全や尿毒症など命に関わる状態に陥ってしまいます。また雌は、逆に尿道が短くて太いため、体の外から尿道を通じて感染を起こしやすく、膀胱炎になりやすいので、その最初の症状を見逃さないことが重要です。

何度もトイレに行きたがる、行っても少ししか排尿しない、血尿が出るなどの症状が出たら膀胱炎の可能性が高いので早めに病院を受診することをおすすめします。その際、超音波検査で結石がないかどうかはチェックできます。
膀胱結石があると痛みが出ることが多いので、排尿時やお腹から抱いたときに痛がるなどの症状や、膀胱炎と同じくトイレに何度も行ったり、血尿なども見られます。

結石ができてしまったら、外科的に手術で取り除く方法と、内科的に食事で結石を溶かす方法とがありますが、中には食事では溶けない結石もありますので、その場合は外科手術が選択されます。結石の種類によってその後の食事も変わり、生涯療法食を続けないといけない場合もあります。

尿道閉塞

尿道閉塞はなんらかの原因で尿道がつまり、排尿できなくなった状態のことをいいます。

何度もトイレに行くのに尿が出た形跡がない、トイレではないところで排尿のポーズをとる・または排尿してしまう、元気や食欲がない、よく吐く、トイレで唸り声を上げるなどの症状が出たら尿道閉塞を疑います。

つまってしまって排尿できなくなると、尿が膀胱から尿管を通って逆流し、腎臓に流れ込むことで急性の腎不全や尿毒症を起こし、ひどい場合はそのまま亡くなってしまう可能性があります。また、膀胱にたまりすぎることで膀胱が破裂することもあります。

雄は雌に比べて尿道が細いため、尿の中にできた結晶や細胞などの成分がつまりやすい構造になっていますが、雌でもつまることもあります。

原因は食事や体質などさまざまですが、冬場に水を飲む量が減って尿が濃くなることで感染を起こしたり、結晶ができやすくなったりして起こす場合もあります。また、膀胱炎から引き続いて起こることも多いため、何度もトイレに行くようになったら注意が必要です。

神経質な子はトイレが汚れていると排尿しないこともあり、膀胱内に尿がたまっている時間が長いことで膀胱炎症状を引き起こすことがあります。

トイレは常にきれいな状態を保ち、排尿に関していつもと違うと感じたらすぐに病院を受診することをおすすめします。

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